きっと、君を離さない



「ねえ、君!」




階段を下りる途中、呼び止められた。
無視していこうかと思ったけど、一度とまってしまった足を動かすのも不自然だ。





「・・・はい?」





振り向いて確認すると、悠斗。
いったいなんの用だ。




「ねえ君、春香ちゃん?」

「・・・誰ですか。私はあなたの事知りませんけど」

「え?ウソ。春香ちゃんでしょう?今日会ったのに間違えるわけないじゃん」





なんでそんな自信満々なわけ?
自分が間違ってるとか思わないの?



「春香ちゃん、でしょ」

「・・・だったらなんだって言いうんですか」

「そんな怒らないでよ。ハンカチ、ありがとう。また洗って返すから」

「いりません。もう帰していらないので、必要なければ捨ててください」

「いやいや、返すって」





この人は、バカなの。
いらないって言ってるでしょ。



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