きっと、君を離さない


それは突然だった。



「は?諦める?なんで」




理恵が突然草太への片思いを諦めると言い出したのだ。
この前見に行った時だって幸せそうだったし、あの後だって楽しそうに話していたのに。




「あれからね・・・、一人でも見に行ったんだ」

「すごいじゃない。それなのにどうして」

「マネージャーの女の人に・・・言われたの」




理恵が俯きがちに話す。
私は理恵の正面に座って話の続きを聞く。




「草太さんと悠斗さんってすごくサークルの中でも人気がある二人なんだって」

「・・・へえ」



悠斗という名が出たことに、少しだけ心がざわつく。
忘れろ忘れろ、と言い聞かせる。
それにしても、モテるんだ。
人懐っこそうだもんね。





「でも、悠斗さんは彼女がいるんだって」

「・・・理恵、その悠斗って人の情報はいらないんだけど」




なんでセットのように教えてくれるかな。
別に、どうでもいい。




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