きっと、君を離さない


そっとのばされた手が、私の頬を流れる涙を拭っていく。
暖かい、その手。




「俺は、ここにいるよ」




そう言った彼が、頬に添えていた手を後頭部に回し自分の方へ抱き寄せた。
弱々しい力で抱きしめられた私に伝わる温もり。





私は、その温もりに子どものように泣きじゃくった。






私を抱き締めてくれる彼は、誰だろう。







わからない。








とても、安心するんだ。









「健太・・・」






また健太が、戻ってきてくれたんじゃないかって思ったんだ・・・。





< 92 / 390 >

この作品をシェア

pagetop