虹色の騎士団
目をつぶって軽く俯いた真宵の背後から、
狐矢太がスッ…っと現れる。

「狐矢太に凛を捜してもらったんだよ。

………。

…ああ…これは…。」

そう言って顔をしかめ、胸を押さえる。

「真宵?!」

「大丈夫…
狐矢太の体に染み付いてきた…凛の感情が…
…少し強すぎて…」

息を吐き出し、顔を上げてオレを見る。

「…凛は今、外を走っているみたいだ…。」

「外って……森の中か……?!」

「そうだね…
降り頻る雨の中、走っているのを狐矢太は見たらしい。」

あいつ……!!

オレの事は止めたくせに………!!

「真宵ありがとな…。
…オレ行くわ。」

立ち上がり部屋を出ようとした時、

「日向。」

手を伸ばして何かを渡して来る。

手のひらに置かれたのは、
ピンクの包装紙に包まれた飴…。

真宵を喜ばす為に、
小さな子がくれた優しいプレゼント。

「1つ残っていたんだ。
…凛にあげて。」

「……さんきゅ…。」

「それと…
狐矢太と一緒に行く…?

その方が凛も直ぐに…」

「いや、オレ自分で捜したいんだ。

…大丈夫、ありがとな。」

頷いた真宵に、ほんの少しだけ笑いかけて…

オレは飴をハーパンのポケットに大切にしまい、部屋を後にした。


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