虹色の騎士団
カナタの後に続き

無惨に変わり果てた
庭園の入り口まで来たカスミは

空を見上げ、
思わず動きを止めた。


「魂を…。

災厄の月が……。

皆の魂を飲み込んでいく………」

「駄目っ!!

レオン、いっちゃ駄目っ!!!」


ヒナタの叫び声に
視線を空から下ろすと、


泥沼のような庭園の中で、

呆然とした表情で
レオンを抱きかかえたリンの姿が目に入る。


ヒナタは庭園の中に走り込み、

空に向かって浮かび始めていた
レオンの魂を掌で握りこんだ。



そのまま、

リンに支えられた
レオンの身体を

きつく抱き締める。


「駄目……

連れて行かせない…!」


…………
あーぁあぁ…………ああぁあ…………

月が消えていく…

世界を汚し、
沢山の魂を飲み込み…。


満足そうに大気に溶け込んでゆく……


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