続犯罪彼女
「で、仕事クビになって帰って来た君が私を呼び止めた理由は?
久しぶりに会った愛しい元カノに愛でも囁きたかったのかな? もしそんなことで私の貴重な時間が潰されてるのなら、すっごい迷惑」

襟首を掴まれた。息がしづらい。
しわにもなるし、やめていただきたいのだけど。

「俺はな、この一年間、ずっとお前のことを想っていた。初めは忘れようとしたけど、忘れられなかった。諦めた俺はお前への憎しみを受け入れたんだ。
そしたらよ、今まで俺を縛りつけていたもんがなくなったみたいに体が軽くなってよ」

右手で襟首を掴んだまま、左手は街灯を攻撃した。
街灯は哀れ、立てるべきではない音を立てながら倒れていく。

「えっと…」

「どうやら力の制御、出来なくなったらしい」

ニコリと笑った。こいつの黒い笑みなんて見たの初めてだ。

私はあまりの人外っぷりに、引きつった笑いを浮かべることしかできなかった。



元からうちのドアの鍵を破壊したり、犯人を殴り倒したりはしていたけれど、ここまで力を出すことはなかったと思う。

それほどまで私を恨んでいるということなのだろうな。

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