最後の恋の始め方
 多くの人は、初恋はいつだったか思い出せる。


 相手は幼稚園の先生だったとか、小学校の同級生だったとか。


 後から振り返って、思い出に浸ることができる場合が多い。


 しかし最後の恋に関してはどうだろう。


 初恋の相手と結ばれることは、かなり困難。


 幸いにして後に出会い結婚した相手に対して、終生変わることのない愛情を抱き続け、生涯を終えられたとしたならば。


 特に問題はないだろう。


 だけど万が一、それが叶わなかったとしたら?


 結婚した相手と離別もしくは死別し、再び恋の機会を手にする可能性もある。


 生きている間は、いつ「最後の恋」をするか、断言はできないと思う。


 命を終えようとする時、「あれこそが自分のまさに最後の恋だった」と確信できるのだろうか。


 今の僕には、まだ何も言えない。
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