最後の恋の始め方
一歩
***


 「それにしても、びっくりしたよ」


 翌日。


 私は自宅から、山室さんと電話で話をしていた。


 この日は和仁さんは、朝から車の修理関連で外出、午後からは仕事でまた札幌まで行かなければならなかった。


 夜も飲み会があるというので、一緒にはいられない。


 朝まで一緒に過ごし、和仁さんが車の修理のため出かけた後も、私は事務所でお留守番。


 夜は帰りがいつになるか分からないとのことで、私は寮へ戻ることにした。


 事務所にはセキュリティシステムを作動させ、施錠を確認してから車で帰宅。


 帰宅して一人で夕食を食べ終えてテレビを見ていたら、山室さんからメールがあった。


 「これから電話しても大丈夫かな」


 ようやく仕事が終わったらしい。


 昨日の夜、私が電話に出なかった(和仁さんと濃密な一夜を過ごしていたため、出られる状況ではなかった)ので、その後メールが来ていて、今日の夜改めて電話をしたいとのことだった。


 仕事が終わって一段落したのだろうか、電話がかかってきた。


 ちょっとした挨拶を済ませた後、すぐに和仁さんの話題に。
< 75 / 162 >

この作品をシェア

pagetop