君を抱きしめたい
突然の出来事に
まわりの同僚達も
あたし達の様子に目を見張る。
たくさん人がいるはずなのに
静まり返った休憩室
耳にかかる吐息が
熱くて
眩暈を起こしそう。
薬指に指輪がハマるとすぐに後ろから抱きしめられる。
キツく
キツく
あたしの体が壊れそうなくらい
「君を奪いに来たよ…」
聞き覚えのある
優しい声。
あたしの
大好きな声…
「キヨ…?」
振り返らなくても分かる
あたしは
あたしを抱きしめる力強い腕にそっと触れた
あの頃は
遠い存在だったこの腕が
今
あたしを抱きしめている。