Sweet Lover
「……そこまで怖がると、逆にいじめたくなっちゃうんだけど」

くすりと笑って、響哉さんは私の頬にキスをした。

涙目になって、ひたすら抵抗する私をみて、響哉さんは僅かに困った顔をした。

「取って食ったりしないから、大丈夫だって」

「でも、今は嫌なのっ。
 ……わかって?」


そして、是非とも自重してください。
いい大人なんですから、お願いしますっ。


「それで、今日はどうする?
 ここでゆっくり過ごす?」

色気のある視線が私のすぐ目の前にあってドキドキする。
唇が甘い笑みを湛えている。

「お、起きるに決まってるでしょう?」

私はするりと響哉さんの腕から抜け出した。


なんなのかしら。

キスが迫る時のドキドキと、優しく笑いかけられる時のドキドキは、多分違う。

……違うって思ってるんだけど。

そのうち、混ざっちゃいそうで、今はまだそれが怖いんだもん。
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