Sweet Lover
『だって、今日は――が遊びに来るんだもん』

小さな私の得意げな声が響く。

『えー、またぁー?
 まあさちゃん、いっつもその人と遊んでるじゃん』

梨音の声も、ずっと高くて舌足らずなのは、これが昔の記憶だからに違いない。

『そんなことないよぉ。
 きのうもその前も来てくれなかったもん』

無邪気ななかに淋しさが募った私の声。

『でも、その前はきてくれたってことだよね?』

やっぱり会い過ぎだって、と、梨音ちゃんが笑う。

私はむきになって唇を尖らせる。

『まあさは――のおよめさんになるんだから、いいのっ』

今、私。
何て言った……?
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