Sweet Lover
「真朝っ」

何度も、何度も。
心配そうな声が私の名前を呼ぶ。

全身を揺さぶられて、私はようやく目を開けた。

「キョーに……っ」

ベッドの傍に座っている響哉さんに手を伸ばして抱きついた。

好きとか、思い出したとか、そういうのじゃなくて。
海で溺れた人が、木片にしがみつくように、私は必死に響哉さんにしがみついていた。
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