Sweet Lover
緊張している私に配慮してくれたのか、須藤さんは独特の冗談を挟みながらも、部屋を案内してくれた。

一流の調度品の数は必要最低限にそろえられていて、まるで、生活感のないモデルルームのような部屋。

そうして、私の為に用意したという部屋のドアを開ければ、勉強机に、クローゼット、ベッドが揃えられていた。


「私――ここに来るって、今日決めたんですよね?」

まさか、さっきの会話から今の間に、これを全部調達できるわけない。魔法使いじゃあるまいし。

「もちろん。
 君の家に挨拶に行った直後に、全部そろえた。
 私服も一応買っておいた。
 気に入ってくれればいいけど」

さらりという言葉に驚いて、クローゼットをあけてみれば、私の好きな服の今シーズンの服がずらりと並んでいた。
下着は、いつもつけるものより上等なものが、タグのついたまま入れてある。


「須藤さん。
 私が、ここにこなかったら、どうするつもりだったんですか?」

心底驚いている私に、須藤さんは不思議そうに首を傾げた。

「多分、捨てるんじゃないかな」

さらりと言うってどういう金銭感覚しているのかしら。

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