Sweet Lover
「家事もするのね、あの人」

「うん……。
 私がやろうとすると、大抵は断られちゃう」

あまりにも当たり前のように朝食と一緒に作って渡してくれるから、あまり深く考えたこともなかったけれど。

「真朝は、彼のことが好き、なんだよね?
 一緒に暮らしているくらいだものね」

当たり前だよねー、なんて顔で梨音が私を見つめてくる。

えっと。
なんだかそう、改めて聞かれるとひどく照れくさくって。

でも。

「うん。
 最初は記憶もなくて、本当にびっくりしたけど。
 今は、好き。……だと思う。
 私、響哉さんのこと何も知らないのにそんな風に言い切っていいのかどうか良く分からないんだけどね」

液体のように掴み所がない感情も、親友に状況を説明しようと思えばそれなりに言葉に出来ることに自分でも軽く驚いてしまう。
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