Sweet Lover
彼は躊躇うこともなく私の傍までくると、そっと手を取って、私が呆気にとられている間にあろうことか手の甲に唇づけた。

「ちょちょちょ……っと。
 何するんですかっ!」

思わず裏返った声が出る。

「何って、久しぶりだね、プリンセスっていうご挨拶に決まってるじゃない?
 ああ、再会のキスは唇にして欲しい派?」

言うと、いとも簡単に私の顎に長い指をかける。

「うわぁああっ。
 待って、待ってくださいっ」

危うくファーストキスを奪われそうになった私は、近づいてきた綺麗な顔を止めるべく、声をあげる。
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