Sweet Lover
何が当たるのか知らないけれど、響哉さんはゆっくりと私の上半身も解放して、わずかばかり、間を空けた。

昨夜寝る直前のように、自分の肘をついて枕代わりにし、私を上から見下ろすスタイルに変わる。

「どうしたの?
 もしかして、俺に見蕩れてたり、する?」

……ドキンっ。

私は答えるよりも前に大きくかぶりを振っていた。

「照れなくてもいいのに。ほら、昨夜寝ぼけてそうしてくれたように、『キョー兄ちゃん大好き』って言って抱きついてごらん?」

優しい眼差しが温かい。

……って、え?
私が抱きついたの? 響哉さんに?
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