Sweet Lover
「Yes, of course!」(もちろんよっ)


不意に囁かれたのは、昨日、途中で邪魔されて、最後まで言葉に出来なかったプロポーズの続き。

きっと、今まで長い歴史の中で、世界中の人たちがたくさん口にしたに違いない、手垢のついたありふれた台詞。

でも――。
多くの人にとってそうであるように、私にとっても、その言葉は幸せをもたらしてくれる、魔法の言葉だった。

須藤 響哉の正体を全て分かりきったなんてとてもいえなのに、両親と同い年だと言うのに、彼の傍に居るだけで今まで経験したことの無いような怖い思いまでしたというのに、何故か、答えは、とっくに決まっていた。

だから、躊躇いも、迷いも、考えることさえなく、即座にそう答える。


幸せそうに相好を崩した響哉さんがくれたキスは、今までのキスの中で、一番甘い味がした。
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