砂の鎖
突然覚醒した私の心臓はばくばくと脈打っていた。

悪い夢を見た。
眠ったはずなのにむしろ疲れてしまったみたいだ。

ゴロリと寝返りを打ちながら顔にかかった髪を掻き分ければ熱く湿っていた。


「あずは相変わらずお寝坊さんだな」


横になった途端、目に入ったものに驚き目を丸くする。
それから、少しドキリとまた、心臓が締め付けられた。

悪い夢を見ていた私は、うなされていなかっただろうか……


「……拓真……」

「おはよう。俺のあず」


けれど拓真は何も気に留めていないようだ。
少し色素の薄い飴色の瞳を細めていつも通りの胸焼けしそうなほど甘ったるい笑みをベッドサイドから私に向けていた。


「……うざい」

「ひどいな……あず」


そこまで聞いてから私はおもむろに起き上がる。
それから、大きく息を吸った。
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