LOVE SICK
あのカフェに行かなくなった。

これも、付き合い始めてから変わった事。


お互いに仕事を持った二人はゆっくり夜に時間が持てない事が多いから。
その分朝食を共にするようになったのは、過去の失敗から得た一つの答えなのかもしれない。



――二人の時間を、大切にしたいと思うこと……




「祐さん。まだです?」


待ちきれない様にダイニングから俺を呼ぶ彼女の元に向かえば、少し悪戯っぽい微笑みを浮かべていた。


「るう?」

「ブラックは、身体に悪いですよ?」


そう言われてテーブルの上を見れば、二人分の食事の中で唯一色が違ったマグカップの中は同じ色になっていて、トレイに載せた覚えの無いミルクがテーブルに出ていた。


「気をつけるよ」


楽し気に笑う彼女に諦めた様に微笑んで席についた。



一回りも歳が離れた彼女を大切に思う様になって、変わった事がいくつもある。

カフェオレを飲む様になった。

それも、その一つ……


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