LOVE SICK
「……支店長、さっさと帰ってくださいよ」

「なんなんだよお前。最近ホントに可愛くねーな」

「貴方に可愛いと思ってもらう必要がありませんから」



舌打ちをした斎木さんに私は思い切りため息を吐き出した。

田嶋くんに裏切られた私は斎木さんと何故か二人きり。
深夜の飲み屋街の路上にいる。

何をしたいか分からない斎木さんはぼんやりとガードレールに腰かけている。
その姿に私はまた、大きく溜息を吐きだした。


プロポーズ作戦を立てることにした私と田嶋くん。

私としてはたまには気兼ねない同期二人で愚痴の一つや二つや三つや四つ。
要するにプロポーズ大作戦は口実で仕事の愚痴大会でもしようかと思っていたのだ。
それなのに、斎木さんが忙しい筈の仕事を押して付いてきた。

私は嫌がったのに、田嶋くんは斎木さんを断れないから困る。


確かに以前は斎木さんと田嶋くんと私、三人で飲みに行くことは度々あった。

その度に愚痴を言ったり仕事上のアドバイスなんかを斎木さんから聞いたりしてはいたんだけど……


斎木さんが支店長になってからは私たちも斎木さんには言い難い仕事の愚痴もあった。

営業チーフが本社から来た以上、斎木さんがいない隙にチーフの前で愚痴大会を繰り広げるわけにもいかない。

営業チーフは本社からの斎木支店長のお目付け役だということは公然の事実だ。
どんなにこの人が憎かろうと、さすがにそういう貶め方は筋が違う。


そんなこんなで私は正直田嶋くんと話がしたかっただけだったんだけど……
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