甘い言葉で


「.........さて、そろそろ戻ろうか?みんなが起きてきちゃうね」


「う、うん.........」


顔を上に向けられて、ユズくんに濡れた唇を親指で拭われた。


ユズくんの『もう一回』が何回も続いて
『あたしの唇腫れちゃったんじゃない?』
って思うくらい、またキスされた。


キスって、こんなにも体力必要だった?
呼吸困難になりそうだよ。


もう、ユズくんのキスを思い出しただけで顔が赤くなっちゃうな.........


「その、あゆみちゃんの赤くなった顔.........誰にも見せないでよ?あゆみちゃんは、俺だけのもの......だよ?」


ユズくんが頷いたあたしの頬を大きな手で包むと


「あゆみちゃん、今日からよろしくね」


ユズくんの優しいキスが、またあたしの唇に落とされた。


甘く優しい言葉であたしを包み込んだ王子さまは、昔あたしを助けてくれた本当の王子さまで.........


『恋なんてまだまだ必要ない!』
そう思っていたあたしの心にそっと寄り添ってくれた。


再開してすぐに......
(あたしにとっては再開ってほどのことじゃないんだけどね。)
あたしを見つけてくれたなんて、ちょっと嬉しかったりはする。



残りの夏休み、二人でデートする約束も忘れずに、あたしはユズくんと手を繋ぎながら皆がいるバンガローに戻った。


< 70 / 101 >

この作品をシェア

pagetop