WiSΗ
第十章 恋人

葵ちゃんがくるまで
静かだった鈴村。

受験が終わり
かえってきた葵ちゃん。

一気に
鈴村テンション上がって。

最近は
あたしより
葵ちゃんのことについてが
多いらしい。

でも
仲いいから。

認めてあげれば?
あたしは
そう思うよ。

願っても
ダメなことだって
あるんだよ。

想い続けても
ダメなことだって
あるんだよ。

なら
相手の幸せ
考えようよ。

授業中。

誰かと
メールしてた
鈴村。

誰かは
知らないけど。

家に帰れば
すぐにチェックする
メール。

問い合わせても
来ているのは
雑誌のメルマガ。

もしかしたらって
期待する。

その後
悲しくなるあたし。

だけど
当たり前だって
笑うあたし。

好きだという
感情すら
薄れていく。

今はただ
友達でいたい。

ただ
仲良くなりたい。

「笑うとどんな子も可愛くなるのよ。」

お母さんが
テレビに出ている
子役を見て言う。

あたし
最近
笑ってないや。

暗くなって
下向くよりも
前向きに
上を向いた方が
楽しいもんね。
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