WiSΗ

今日の学校は
しんみりしてる。

明日が
ほとんどの人が受ける
入試があるって言うのも
理由だろうけど…

―ポンポンポンポーン

静かな教室に
響き渡る。

「みなさん。悲しいお知らせがあります」

鼻をすする
校長先生。

朝に
内容は
担任から聞いた。

なかなか
実感がわかなくて…

それは
あたしの同級生の
弟が昨日の朝
亡くなったと
いう話。

もちろん
その子は
来られなくて。

「もう…その子は学校にはずっと戻ってきません。」

泣く友達もいる。

「全校生徒の前で…話をしたかったのですが…。」

校長先生は
かすれた声で
話し続ける。

「3年生は入試がありますから…」

ストーブの
どーっという
音だけが聞こえる。

「インフルエンザになると大変なので…」

校長先生の
息づかいは
荒くなる一方で…

その話は
だんだん
あたしの耳に
入らなくなっていった。

早すぎる。

誰も
消えないで。

その男の子は
喘息から
呼吸困難に…

あたしは
よくわかんないけどさ
心が
潰されそうだった。

話したことは
ないよ?

だけど
やっぱり
同じとこで
勉強してて…

同じように
給食食べたりさ
同じ学校だったから。

奇跡みたいに
会った人だもん。
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