愛してると囁いて【短編】
俺のときみたいに押さえ付けるようではなく、触れるだけの優しい…そんなキス。



だが、俺の優秀なはずの脳はまだ理解していなかった。





柔らかいものが離れると歌音独特の香りを感じた。




唇は耳へ移動したのか、温かい吐息が耳にかかってくすぐったいというか…なんか胸がくすぐったいというか…






















そして、唇は甘い愛を囁いた。



















「じゃ、かつ君今度デジモン見に行こうね!」



俺から離れた歌音は軽々とスキップして帰って行った。


甘い香りを残して……









俺の頭には先程、歌音が囁いた言葉がぐるぐるとまわっていた。

もちろん、デジモンじゃなくてポケモンにしろ。だなんて考えている余裕もなくて。





だんだんと自覚症状がでてきたのか、顔が熱くなる。


嬉しい…素直にそう思った。












ああ…


これが


愛しいってことなのかな…?



これが…















恋………ってやつ…なのか。



















俺はぐるぐるまわる歌音の言葉をしっかりと心の中で自分に囁いた。


















『あたしの…好きな人は…』


< 29 / 31 >

この作品をシェア

pagetop