隣の女
そんなある日のこと‥

社長から

「朝子ちゃん、
 今日は夜忙しいかな?」

「はい?何か?」

「ちょっと、今日あるお客さんと
 会う予定なんだけど付き合って
 もらえないかな?」

「私がですかぁ?」

「相手も朝子ちゃんと同じ年代の
 女性でね。
 俺、苦手なタイプでさぁ。

 話題に困るといけないから‥
 頼むよ。美味いもの食わせるから!」

ケチで有名な社長は、社員とは
歓送迎会と忘年会以外は
一切飲み食いはしない。

これは、かなり珍しい話である。

「えぇ、でも、私なんかが
 お役に立つんでしょうか?」

後でイチャモンをつけられても
困るので、経理部長でもある
社長夫人の確認が必要である。

すると、察した社長夫人の則子が

「朝子ちゃん、お願い。
 今日はかなりのご馳走が出るみたいよ。ただ行って話を聞いてて、パパがわからない
 ことあればフォローしてあげてよ。」

社長夫人の了解があれば問題ない。

 「わかりました。でも‥
  せめて昨日おっしゃって
  下されば、もう少しましな格好
  してきたのになぁ。
  こんな格好で大丈夫ですか?」

 「全然問題ないわよ。急に悪いわね、悪いわね。」



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