白雪姫の王子様




「さゆ、き……?」



か細い声と共に、透き通った瞳が微かに開いた瞼から覗いた。



「犀川、くん……!?」



一瞬、驚きと歓喜で頭は真っ白になった。



「よかった……。ほんとにっ、よかっ、たぁ……うっ、うぅ……」



目を開けてくれた。


確かに認識できたその事実が堪らなく嬉しくて、身にしみて、込み上げてきた涙は溢れ出して止まらない。



「……ごめんなさい、私のせいでこんなことになっちゃって」



ただもう一度、ちゃんと心から謝りたかった。



< 341 / 366 >

この作品をシェア

pagetop