愛してるの代わりに
エピローグ
☆エピローグ☆



季節は過ぎ、春を迎えた―――






クリスマスのあの日。

慎吾の家に戻ってから、お互いの両親に結婚の意思をすませたふたりは、元旦に無事、入籍をすませた。

同じ日に翔と咲良というビッグカップルのニュースも重なったこともあり、雛子がマスコミに追われることもなかったのは、敏腕社長の黒川の作戦勝ちと言ったところだろうか。



雛子は年明けに職場へ辞意を表し、ちょうど年度の替わる3月末日付けでの退職となったが、有休消化もあり、3月の頭には東京へと引っ越しをし、慎吾と新生活を始めていた。

ささやかな結婚式もすませ、ふたりの生活は2か月目に突入しようとしていた。

そんなある朝。




「う~、緊張する」

玄関先、珍しく慎吾が緊張していた。

慎吾が尊敬するベテラン俳優と、親子役での初共演が決まり、今日はその顔合わせの日なのである。

「大丈夫だよ、だって慎くんいっぱい練習してたでしょ」

「そっかなあ」

「そうだよ。絶対大丈夫」

「ホント?」

「ホント」

雛子はにっこり微笑んで、慎吾が今一番聞きたいであろう言葉を紡いだ。




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