ハッピークリスマス
帰ろうとしたとき、向こう側の歩道に
翔琉が見えた。見間違いなんかじゃない。
間違いなく翔琉だ。
その隣には小柄で可愛らしい女の子がいた。二人は手をつないで仲良さげに歩いている。
どうして?
私は翔琉と手を繋いだことがない。
デートだって…
「おい、桜木大丈夫か?!
アイツなんなんだよ!!」
「はぁ、そっかー。
所詮私はそーゆーもんだったのか
ははっ、バカバカしい」
悲しいけど何故かその反面そこまで苦しくなくて…
すぐに諦められる気がした。
私は電話を手に取った。
発信音が鳴り始めて翔琉はすぐに出てくれた。
「もしもし?翔琉、今どこにいる?」
「今?家だよ。用済んだから家に帰ってる。」
最低ー。
もう、別れてやる。
何でこんなに翔琉に執着してたんだろ。
「そかー。なんかさ、今翔琉に似てる人が見えるんだけど。」
「えっ。」
すると翔琉はキョロキョロし始めた。
私を見つけて目が合うと驚いていた。
「最低ー。さようなら。」
今度こそ私が一方的に切ってやった。