追憶のエデン
「それって愛の告白?」


クスクスと笑うルキフェルの言葉に目を見開く。


「だって、君のいた国ではそうやって愛を伝えるんでしょ?」


そんなわけないと思い口を開こうとすると、またいつもの様に笑いながら、でも少し悲しげにルキフェルは言った。


「なんてね。今のイヴが僕を愛してくれてるなんて思ってないよ…


――でも、今はってだけでしょ?そう、今は……」


真剣な瞳をこちらに向けた後、あたしから目を逸らし、ルキフェルは月を見る。



「月が…綺麗だね。未羽――。」



――っ!!!


心が一瞬、狂ってしまうかと思った。
煩く主張する鼓動が、憎たらしい。










――ふわり


甘い香りがまた風に乗って通り過ぎていく。


でも、最初に感じた瑞々しい甘さではなく、少し甘ったるさを持ち合わせた様に感じた。



――ねぇ、貴方は何を考えているの?


あたしはこの場から動く事もせず、ルキフェルを見つめた後、目を離し、夜空に浮かぶ白い月をただ見続けた。
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