追憶のエデン
「……オロバス。後は頼んだ。」
「かしこまりました。」
いつの間にオロバスさんが来ていたのか、浴室のドアの向こうから声が聞こえた。
するとオロバスさんの了承と共に、ザバンと音を立てルキフェルはバスタブから出ると、黒い霧に身体を包み、自身を濡らす水滴を身体から取り去る。そしてこちらを振り返る事もなく、浴室から出て行ってしまった。
――ちゃぷん
一人残された浴室。
まだ温かなお湯は、髪から滴る水滴が落とされる度、小さな波紋を作っては、広がり消えていく。
次々に思い出すのは、アリシアさんの事、グレンの事、そして……ルキフェルの事。
「……ッ…じゃあ、あたしは…どうすれば、良かぁ、ったって…ぃぅ、の…?」
心はぐちゃぐちゃで、あたしだって分かんないよ。
何でこうなった?そんなのあたしが教えて欲しい。
出口の見えない答えに、どう導き出せば正解だなんて分からないよ――。
浴室に響き渡る、泣き声。
こっちに来てから、こんなに自分が泣き虫だったなんて知った。
涙は枯れる事を忘れた様に、溢れては零れ、溢れては零れ、繰り返し続ける。
「イヴ様……。」
ふわりと包まれた優しい温もりと華奢な両腕。
「イヴ様、私の勝手な判断で貴女を抱きしめてしまった事、お許しください。
でも、貴女の泣き声があまりにも、痛みに溢れていたから……。」
そう言って優しく抱締めてくれたのは、いつものメイドさんだった。
あたしが落ち着くまで、ずっと何も言わず抱締めてくれた。
涙も収まり心が落ち着くと、優しい手付きで髪を洗い、傷口がお湯やボディーソープで沁みない様に丁寧に全身を洗ったりと身の回りの世話をしてくれた。そして傷や打撲の手当をし、それが終わると軽く微笑みお辞儀をして出て行った。
綺麗に包帯の巻かれた腕を見てそっと触れてみる。
(これも全て夢なんかじゃないんだ……。)
紛れもない現実。
この傷は消える事になっても、消えないモノはずっと残り続ける。
「かしこまりました。」
いつの間にオロバスさんが来ていたのか、浴室のドアの向こうから声が聞こえた。
するとオロバスさんの了承と共に、ザバンと音を立てルキフェルはバスタブから出ると、黒い霧に身体を包み、自身を濡らす水滴を身体から取り去る。そしてこちらを振り返る事もなく、浴室から出て行ってしまった。
――ちゃぷん
一人残された浴室。
まだ温かなお湯は、髪から滴る水滴が落とされる度、小さな波紋を作っては、広がり消えていく。
次々に思い出すのは、アリシアさんの事、グレンの事、そして……ルキフェルの事。
「……ッ…じゃあ、あたしは…どうすれば、良かぁ、ったって…ぃぅ、の…?」
心はぐちゃぐちゃで、あたしだって分かんないよ。
何でこうなった?そんなのあたしが教えて欲しい。
出口の見えない答えに、どう導き出せば正解だなんて分からないよ――。
浴室に響き渡る、泣き声。
こっちに来てから、こんなに自分が泣き虫だったなんて知った。
涙は枯れる事を忘れた様に、溢れては零れ、溢れては零れ、繰り返し続ける。
「イヴ様……。」
ふわりと包まれた優しい温もりと華奢な両腕。
「イヴ様、私の勝手な判断で貴女を抱きしめてしまった事、お許しください。
でも、貴女の泣き声があまりにも、痛みに溢れていたから……。」
そう言って優しく抱締めてくれたのは、いつものメイドさんだった。
あたしが落ち着くまで、ずっと何も言わず抱締めてくれた。
涙も収まり心が落ち着くと、優しい手付きで髪を洗い、傷口がお湯やボディーソープで沁みない様に丁寧に全身を洗ったりと身の回りの世話をしてくれた。そして傷や打撲の手当をし、それが終わると軽く微笑みお辞儀をして出て行った。
綺麗に包帯の巻かれた腕を見てそっと触れてみる。
(これも全て夢なんかじゃないんだ……。)
紛れもない現実。
この傷は消える事になっても、消えないモノはずっと残り続ける。