オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~
秋かぁ。

確かに、センチメンタルな季節だな。

そりゃ、女4人でレンタカー借りて、海に来たなんてしょっぱすぎるよなぁ。

あー、帆乃香、ヒザ丈のジーンズを濡らしてらー。

カゼひいてもしらんぞー、私は遠目で思う。

小学生がプールではしゃぐような歓声が飛び交う秋の海。

私たち、もうすぐ20歳になるんだよ。

水遊びなんかではしゃいじゃって――ははは。

私はひとりで笑ってしまう。

そして私は浜辺でうーっと伸びをし、そのまま後ろに倒れ込もうとした。

ゴツン。

「あ、痛っ」

倒れ込むときに、後頭部に何かが当った。

ふとふり向くと、それは人の脚だった。

ぎょっとして、私は両手を腰の後ろについて体制を整えた。

「あ、ご、ごめんなさい」
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