好きになんか、なってやらない
23章 恋の終止符
 
   ***


 
その電話がかかってくるまで
存在すら、忘れていたんだ……。




ヴー、ヴー……


家に帰って、ほったらかしにされたテーブルの上の携帯。
缶ビールでも開けようとしたとき、それが震えた。


誰だ?


そんなことを思いつつも、相手が玲奈じゃないかなんて期待をして
震え続ける携帯を拾い上げる。

だけどそこに記された番号は、登録もされていない見たことのない番号だった。


不審に思いつつも
登録し忘れた相手とか、誰かから借りた携帯だとか、
いろんな可能性を考えながら、震え続ける携帯の応答ボタンを押した。


「もしもし」

《……もし…もし……。…凌太…?》


少しだけ威嚇した声で発すると
それにビビったような、か細い声。


分かりたくなんかない。
そんなはずない。

俺のこの番号に、アイツから電話があるなんて……。


だけどその相手を
間違うはずないほど、俺には聞き覚えがありすぎて……




「………美空か…」




もう呼びたくもないそいつの名前を
呆れ交じりで呼びかけた。
 
< 277 / 301 >

この作品をシェア

pagetop