好きになんか、なってやらない
5章 二人の距離
 
「ねえ……」
「なにー?」
「帰っていい?」
「なんでよ!今来たばっかじゃん!ほら、飲んで飲んでー!」


人が半分キレかけているのに、空気を読めずグイとお酒を勧めてくる真央。

冷ややかな視線を送り返したけど、まったくそれは効果をなさない。


私がこんなにも帰りたい理由。
それは今、一緒の空間にいる人物が大きく関係していて……。


「凌太さん、今度休みの日も遊んでくださいよー」
「ん、いいよ。みんなで遊ぼうな」
「そうじゃなくてっ……」


にこやかに周りの人たちを相手にしている、岬凌太が原因だ。



週末になって、真央に誘われた飲み。

最初、私の機嫌が最近あまり良くないという理由から、他の同期も誘ってぱぁっと飲もう!という話になっていたはずなんだけど……。


「飲みに行くの?俺らも参加しちゃおっかなー」
「もちろん!凌太さんもどうですか?」
「え?あ、ああ……。いいよ」


という感じで、同期飲みはあっさり崩れ、先輩後輩関係なく、飲みは続行されてしまった。
 
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