SEL FISH
椅子から立ち上がったアキは空の皿をキッチンに持って行って、自分の部屋に戻ってしまった。
「…アキと喧嘩中?」
「まあ、そんなところ」
「そういえば、よくコードとか踏んで怒られたなあ。あと本を無碍に扱ったときとか」
「そういうのうるさいんだよねー、父親似なんだよ。それより、いのりんが全く来なくなったから、そっちが喧嘩とかアキが嫌われたと思ってた」
酎ハイをテーブルの上に置く。ナッコちゃんは頬杖をついてカウンターの向こうを見ていた。
あたしはそれにどう答えようものか考えて、腕を組んだ。