SEL FISH

「誰もが皆、順位をつけるわけじゃないと思うけど」

「でも、四番とか五番は無いとしても一番はあるでしょう? アキにはないの?」

少し考える顔。休み時間の終わるチャイムが鳴った。

偏差値は普通だけれど、素行もそんなに悪くない生徒は慌てて教室に戻って席に着く。

あたしも教科書を引き出しから出して、黒板の上の時計を眺めていた。

別れたから今日からまた暇になっちゃうな。帰りにCDショップ寄ってこうっと。

「うん、あるね」

「んー?」

アキが読みかけの文庫本を置く。少し微笑んでいる。何か楽しいことでも思い出した?



< 5 / 328 >

この作品をシェア

pagetop