SEL FISH
「誰もが皆、順位をつけるわけじゃないと思うけど」
「でも、四番とか五番は無いとしても一番はあるでしょう? アキにはないの?」
少し考える顔。休み時間の終わるチャイムが鳴った。
偏差値は普通だけれど、素行もそんなに悪くない生徒は慌てて教室に戻って席に着く。
あたしも教科書を引き出しから出して、黒板の上の時計を眺めていた。
別れたから今日からまた暇になっちゃうな。帰りにCDショップ寄ってこうっと。
「うん、あるね」
「んー?」
アキが読みかけの文庫本を置く。少し微笑んでいる。何か楽しいことでも思い出した?