SEL FISH
休日のショッピングモールはいつも賑わっているはずなのだけれど、嵐の前というのもあるのか、みんな買い物をしてさっさと帰っていく。
フードコートはガラガラだった。
三芳くんからメールが入って、ここにいることを伝えた。
「いのりちゃん?」
聞こえたのは三芳くんの声じゃない。
振り向いて見ると、同い年くらいの女がいた。
あたしは知らない。
「……どちらさま?」
何も言わずにその人はあたしの横に立った。
ガッと襟元を掴まれて無理やり立たされた。抗議の声をあげるより早く、左頬をビンタされる
。