星空の奇跡【短編】

「ゆ……くん……私もずっと……」


「もういい。分かったから……」


ゆうくんは優しく私を抱き締めた。


早乙女さんが、ゆうくんなの……？



ハテナでいっぱいになり、早乙女さんを見上げる。



もう1度、ぎゅっと抱き締められ、早乙女さんは2、3度深呼吸を繰り返した。



「そのまま聞いて、しほちゃん。僕はね、あの時オーストリアに行ったんだ。そして、先月こっちに戻って来た。名字は違うけど、言わば芸名かな。ずっと、会いたかったよ……」



トクントクンと、ゆうくんの胸からもリズムが聞こえてくる……。



「でも……でも、ゆうくん……指輪」


少し悔しい気持ちが募り、軽く胸板を叩いた。


ゆうくんは私を離して、ベッドに座るよう促した。


そして私の前に片膝をついて、私の手を握った……。



「信じてもらえないかもしれないけれど、この指輪は自分で買ったんだ。僕は……しほちゃん以外、好きにならない」



切なそうなまっすぐな視線から、目が離せなくなる。



「ゆうくん……」