召喚女子高生・ユヅキ




「指にまで吸いついてきて……この節操なしめ。一体、誰に習ったんだ? 次は噛みつくのか?」

 何が楽しいのか、東雲はねちねちとからかってくる。

 恥ずかしくて悔しくて。
 柚月の頬は熱くて、どうにかなりそうだった。

(こんなこと、誰にもしたことないってばッ!)

 早々、何度もあってたまるか。
 頭ではそう反論するも、声が出てこない。丸くなっていた白夜が何事かと柚月を見つめてくる。こんな状況をあしらえるほどの人生経験はない。

 唇を噛みしめ、じっと恥辱に耐えるしかなかった。

 そこへ、後方からガッと不思議な音が響いてくる。

「あぅッ!!」

 一拍あとには、謎の悲鳴。
 驚いて振り返ると、爪先を押さえた宗真が蹲っている。床板で足先をこすったのだろうか。
 金魚鉢の器を乱雑に床に置いた柚月は慌てて駆け寄る。気が動転していたので、膝に白狐がいたことを忘れていた。立ち上がった瞬間に、ころんと転がり落ちる。

「宗真! 大丈夫!?」

「ゆ、柚月さま……あの、その……えと」

 混乱しているのか、言葉が出てこない。

 そんなに何を動揺しているのか不思議だった。
 転ぶのは毎度のことだろうに。

 とにかく、彼の足を引っ張って傷の有無を確かめる。

「よかった……爪とかは割れてないみたい」

 ほっとしたのも束の間。
 目が合った宗真はひたすら狼狽し、顔を茹で蛸のように真っ赤にしている。
 とどめには、一輪の花を差し出して俯く。その手は、見事にぶるぶると震えていた。

「ぼく、何も見てません。何も見てませんから……ッ!」

 しどろもどろに言い訳され、頭を殴られたような衝撃を受ける。

(み、見られてた……ッ!?)

 柚月は、あまりの恥ずかしさで死にたくなった。

 側に駆け寄る白夜は抗議するかのように、キーッと高い声で鳴いた。





< 177 / 177 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:6

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

探求者たちの苦悩
MaiKa/著

総文字数/73,086

ファンタジー169ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
本作品は 他サイトで企画用に 執筆したものです
Engage Blues
MaiKa/著

総文字数/64,556

恋愛(ラブコメ)141ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
幸せだから 怖いこともある
婚約者の憂鬱
MaiKa/著

総文字数/19,843

ファンタジー50ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
女王の婚約者と愉快な仲間たちが織り成すドタバタ宮廷ラブコメディ。 彼は、無事に結婚できるのか?

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop