桃の姫〜最強姫の愛した族〜
少女を叱る少年。


それはまるで、兄と妹のようだ。


「あっ!ユズさん!」


「ユキ」


そこに駆けつけたのは、2人の少年と少女。


「心配したんですよ!?」


「………俺も」


「ユウ、ユキ、シノ。ごめんね?」


少女が謝ると、3人の少年少女は笑顔になった。


それだけこの少女を大切にしているんだろう。


「もう勝手にいなくなるなや?」


「いなくなったらおやつ抜きです!」


「……ご飯も」


「みんなひどいね!?」


驚き、呆れ、そんな表情。


だけど少女は小さく〝ありがとう〟と言うと、微笑んだ。


その微笑みは姫のようにキレイな笑み。


まさに、桃の姫。


〝桃姫〟


それがこの少女のもう1つの通り名だ。


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