桃の姫〜最強姫の愛した族〜
「ゆー君!ごめんやでっ。守る言うたのに…」


「コタ、後悔してる暇はないよ。今はどうやって麗を助けるかが先だよ」


あいつは麗を壊せばと言っていた。


狂っていているあいつは…本気でやりかねないっ。


「柚瑠、俺たちはどう動けばいい?」


「なんで私に聞くの?白龍の総長は龍哉だよ?私は仲間でもないし、上司ってわけでも…」


「答えなんて1つしかない。麗の姉だからだよ」


麗の姉だから?


「それに、こういうのは柚瑠の方がわかってると思ってな」


確かに、仕事で人質を取られたりもするけど、今とでは状況が違いすぎる。


それに組員と麗では力の差もあるし。


どうしたらいい?


こうしてる間にも麗は…っ。


「…ユズ、麗を傷つけずに助けるのは無理だよ」


「戦い…だから、怪我は、つき…もの」


「ユウ、シノ…」


わかっている。


だけど、あの子は女の子なんだ。


傷が残って将来泣くあの子を見たくない。


そんなの自分のエゴだってわかっているけど…。


麗には辛かった分、幸せになってほしいんだ。


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