ブルーシューズ

憧れの先輩

次の日。


美術の作品の仕上げが遅れて、私は授業が終わった後の昼休み、美術室で一人パレットを洗っていた。


「ふふんふふふふ♪ふふふふふふん♪」


私はモンパチの、ちいさな恋の歌を鼻歌で歌いながらパレットをグリグリ洗っていた。


中学のとき。友達に一度、言われたことがある。


「由紀って恋してる時によくその歌口ずさんでない?」

って。


私、今、恋してるのかな?
好きな人、いるのかな?

そんなことをふと、思った。


「ふーんふ、ふふ……ガラガラっ


サビは扉の開く音で遮られた。




あ。


サラサラの黒髪、長いまつげ。
昨日、私が見とれた顔だ。



…高野先輩。

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