孤独女と王子様
『私は弱い人間です。父親に捨てられているから元々男性のことは信用できませんし、友達に裏切られたことがあるので人そのものが信用できなくなりました』
「僕、神戸さんとお友達になりたいです」

これは本音じゃない。

本当は友達じゃなくて・・・
でも、今の神戸さんに僕の本音をぶつけるのは、まだハードルが高い。

『それでしたら・・・』

と、紙とペンを用意して、スラスラ書き始めた神戸さん。

『これが、私の連絡先です。お友達としてなら、大丈夫です。きっとあなたなら、たとえ裏切られたとしても、深入りしないでしょうし、問題ないです』
「どうしてそう思うのですか?」
『成瀬川家の御曹司と繋がれば、うちの書店の売り上げにも、貢献していただけるでしょ?』

神戸さんのこの一言に、固まってしまった僕。

『今日のお代、幾らですか?』

するとマスターが、

『今日は剛からいただくから、君からは貰わないよ』

マスターと打ち合わせていたわけではないけど、僕はその気でいたので、特にマスターのことばに付け足しはしなかった。

しかし・・・
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