孤独女と王子様
『今度、この料理の作り方、教えてください』
『いいわよぉ。私も出来るだけ時間作るようにするから。剛は別にいいけど、由依ちゃんに会えるなら、頑張るわ』
「何だよ、それ」
『やっぱり女の子はいいわよねぇ』

母さんはかなり由依ちゃんを気に入ったようだ。

最後に"次の製作のために"と、由依ちゃんの体のサイズをくまなく測っている。

『由依ちゃんは、ベルベッドのワンピースも良さそうよね。あと、チャイナ服とかも似合いそうだわ』

そして帰り際はご機嫌で僕達に手を振って見送られた。

今日の僕達は帰る家が一緒だ。

由依ちゃんの住む、木塚駅前のあのマンション。

でも、舌の根が乾かぬうちに僕は由依ちゃんに伝えておいた。

「由依ちゃん、僕は母さんの濃いイタリア料理より、由依ちゃんが作る和食の方が好きだから、これからもたくさん作ってね」

と。
すると、由依ちゃんは笑って僕の頬にキスしてくれた。

早く父さんのスケジュールを押さえて由依ちゃんを会わせよう。

僕は心に誓った。
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