孤独女と王子様
翌日の結婚式は、とてもアットホームなものだった。
私達の披露パーティーとは大違いだ。

友人知人に囲まれ、幸せそうな遥香と桐生さんが、とても眩しかった。

「幸せそうだなぁ」
『そうだね』

2人のことを新婦側のテーブルから見つめる私達は、2人への挨拶の後、新郎側に座る健吾さんと玲奈さんのところに行った。

健吾さんの副社長就任とともに、先月末で龍成社を退職した玲奈さん。

『来週、咲良ちゃんに会いに行くね』

病院での約束が結局忙しくて果たせてなかったので、退職した今、時期を含めて約束することが出来るようになった玲奈さん。

夫婦として公に出られるようになり、玲奈さんも幸せそうだ。

周りを見渡しても、みんな笑顔。

そんな楽しい披露宴だった。

帰りの車の中で、感じたことをそのまま剛さんに話すと、

『僕たち、もっと幸せになりたいな』

とポツリと話した剛さん。

車は家のある木塚駅方面ではなく、どちらかと言えばわかば堂書店方面に向かっている。

着いたのは・・・ゴールドヘブンリーホテル?

駐車場で、車に乗ったまま電話をかけ始めた。

『もしもし、母さん?』―
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