シーサイド・ティアーズ~潮風は初恋を乗せて~
「ああ、そういえば……。書庫のお部屋で、マナーの本を見てたでしょ? あれって、蓮藤さんになりきるために?」
「げ、そんなとこ見られてたのか。危ない危ない。もちろん、ボロが出ないようにな。俺だって、最低限のマナーは把握してるはずだけど、やっぱり心配になるだろ。蓮藤になりきるってのは、けっこう骨だったぞ」
 ショウ君も苦労してたんだな。
「あと……、お庭にある2本のヒマワリは?」
「幼稚園時代に、雫と俺が育ててたのを夏が来るたび思い出してな。今回のお見合いが決まるずっと前から、あそこに毎年植えているんだ。ああ、そこからも、雫が鋭ければ、俺たちの工作に気づいてたかもな。植える朝顔の本数を、蓮藤が勝手に決めるはずないだろ。当然、俺、桜ヶ丘が決めることだしな」
 そういわれれば……分からなくもない。
 ただ、それで気づけるようには、到底思えないけど。
「まぁ、細かいことは、もう気にするなって。ところで、いよいよ明日からお見合い本番だな。もちろん、受け入れるよな、雫?」
 突然、ショウ君の口調が、真剣なものに変わる。
 私も真面目に答えた。
「もちろん。よろしくね」
 すると―――。
 ショウ君は電光石火の早業で私を抱きしめると、またキスしてくれた。
 そして、私がリアクションを取るよりも早く、私をお姫様抱っこで運び、ベッドに降ろす。
 あまりの驚きに、私の心臓はバクバクいっていた。
 私は仰向けに寝かされ、上から覆いかぶさるように、ショウ君が私の顔を覗き込んでいる。
「さーて、さっきの続き、しようぜ。もう邪魔されることもないし」
 私はドキドキして、言葉が出てこない。
「20年経って、やっと雫と再会できた。もう二度と離さないからな」
 私の目を覗き込んでくる、ショウ君の綺麗な瞳。
 吸い込まれそうに感じた。
「雫、愛してる」
 上から再びキスしてくれた。
 触れ合った唇だけでなく、全身が熱い。
「ずっと、離さないでね。ショウ君、大好き」
 私はショウ君に全てを任せ、目を閉じた。


                     【完】
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