シーサイド・ティアーズ~潮風は初恋を乗せて~
 駐車場に車を停め、私たちはモール内を歩いている。
 そして一件のアクセサリーショップにて、私は立ち止まった。
 でも、さすがに高価なアクセサリーを買ってもらうわけにはいかないので、あくまでも見ているだけだ。
「何かご所望でしょうか?」
 まるで店員さんのように聞いてくれる蓮藤さん。
「いえいえ、見ているだけです」
 そのとき、三日月の形状をしたイヤリングを見つけ、私の目は釘付けとなった。
 三日月……ショウ君がくれたぬいぐるみ……。
 あのぬいぐるみのウサギを思い出す私。
「店員さん、こちらをお願いします」
 蓮藤さんの声に驚いた。
 えっ?
「雫様にお似合いかと思いますゆえ、勝手ながら購入させていただきました」
 まもなく、店員さんがそのイヤリングをラッピングしはじめた。
 いいのかな……。
 でも、蓮藤さんって、ほんとに優しい。
「あの……ありがとうございます」
「気にしなくていいのですよ。はい、こちらを」
 そう言って、イヤリングを手渡してくれる蓮藤さん。
 どんどん好きになっていく気がする。
 私は顔が熱くなるのを感じながら、それを受け取った。
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