もう一度君の笑顔を
限界

友紀side

月曜日の朝。

出社した私は、自分のフロアに行こうとエレベーターを待っていた。


「高城さん」


名前を呼ばれて振り返れば、どこの部署かは忘れたが、社内でも美人と評判の子が立っていた。


「先週、中野さんにご飯をごちそうになってしまって。

 すごい、美味しいフレンチだったんですけど、また高城さんからもお礼を言っといてくれませんか?」


男なら、誰でも落ちてしまいそうな笑顔の彼女だが、あいにく私は女だし、その内容は私には喜ばしくないものだった。


それに私は、わざわざ呼び止められて伝言を頼まれるほど親しい記憶は無んだけど。


そう言ってやりたかったが、


「わかった。伝えとくよ。」


それだけ言ってエレベーターに向き直った。



「ホント、つまんない女・・・」


ポソッと聞こえたその声は、先ほど話していた時の物とは全く違い、おそらく社内に大勢いるであろう彼女のファンに社内放送で聞かせてやりたいほど刺々しいかった。


つまんない女で結構だ。


他人の彼氏とフレンチに行って、それを週明けの朝一に彼女である私にわざわざ報告してくるような女がつまる女なら、私は永遠につまらない女でいい。


むしろ、その称号を喜んで授与しようじゃないか。


ちょうどエレベーターがやって来たの私はそれに乗り込んだ。


彼女はどこかえへ行ってしまったようだ。



つまり、彼女は私にあれを言うだけの為にあそこにいたのだ。


アホ臭い。


でも、自分が置かれている状況はきっともっとアホ臭い。



だって、それがすべての根源だからだ。


高城友紀。28歳。商社で営業してます。
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