もう一度君の笑顔を

光輝side

彼女と別れてから数日が経った。


相変わらず訳の分からない噂が飛び交っていた。


その内容は、彼女を傷付けるようなものばかりで、心が痛かった。


そんな俺に追い打ちをかけたのは、同じ部のやつの言った言葉だった。



「あんな女と別れられて良かったな！」


そいつは、俺の肩を叩きながら笑顔で言った。


「何だと？！」


その言葉にカッとなった俺は、肩に置かれた手を振り払いながら、相手を睨んだ。



すると相手は驚いて、


「な、何怒ってんだよ。お前だって、別れたかったから他の女と遊んだんだろ？」


その言葉で理性が吹き飛んだ。



何も知らないくせに敵となこと言ってんじゃねぇよ！



相手の胸ぐらを掴んで、殴りそうなったことろを、後ろから凄い力で引っ張られた。


後ろを見れば、武井だった。


「やめろ！仕事中だぞ！」


珍しく声を荒げる武井に我に返り、辺りを見回せば、みんなが俺たちを見ていた。



そいつは、まだ何か言いたげだったが、武井に睨まれて、自分の仕事に戻って行った。



冷静になると、さっき言われた言葉が頭をよぎる。



俺が彼女と別れたがっていた？


だから、他の女と遊んだ？


俺には全くそのつもりはないが、確かにそう思われても仕方ない行動だった。



そうか、俺の行動は、そう取られていたんだな・・・



おそらく、彼女にも。



そのことに気づいた俺は、もう俺が何をしても逆効果にしかならないような気がして、身動きがとれなくなってしまった。


そして、ただ、外回りであまり社内に居ない彼女が噂を耳にしないことを祈るばかりだった。