もう一度君の笑顔を

光輝side

林梨花と話をしてから、俺はまずは頭の中を整理することにした。


俺はまだ、友紀が好きだ。


でも、今はそんなこと言ってる場合じゃない。


まずは、今、周りで起こっている事を片付けるのが先だ。



とりあえず、今立っている噂を収束させることから始めよう。


何か、期限は1週間だとか言ってたな・・・。


もし、1週間で収束できなかったら俺はどうなるんだ?


・・・・いや、そんことを考えるのは止めよう。だって、林梨花に言われたからやるわけじゃない。



俺が出勤すると、武井が物凄い勢いで近づいて来た。


「お前!」


「な、何だよ。」


殴られるかと思うほどに勢いに驚くと、武井は険しい顔のまま続けた。


「マーケティングの林さんと食事に行ったってのは本当か??!!」


「へ?あぁ林梨花か?行ったけど・・・

 それがどうかしたか?」


俺がそう答えると、武井は体をわなわなを震わせながら口をぱくぱくしている。


何事かと思いながらも、


「大体、何でお前が知ってるんだよ。」


と尋ねると


「噂がたってるんだよ!!」


そう大きな声で答えて来た。


「お前、なんでそんなに噂知ってんだよ・・・

 仕事しろよ。」


最近、噂に振り回されている俺はうんざりしながら言って気づいた。


そうだ。


武井は別に噂好きという訳ではない。


でも、毎回俺の事についてはよく知っている。


俺とよくいるから、誰かが武井に教えるのか、それとも武井の耳に入るほど広まっているのか・・・


後者なら、何かが不自然だ。


たかだか同期と飲みに行っただけだ。それか武井の耳に入るほど広まるという事は、誰かが積極的に広めていると言う事だ。


・・・でも、誰が?


俺は、そこに今立っている噂を収束させるとっかかりがあるような気がした。


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