もう一度君の笑顔を

光輝side

いつもの様に仕事を切り上げ、友紀の元に向かう。


友紀のところに行く為に、仕事はかなり無理をしているが、俺の調子は驚くほど良かった。


いつもの様に、友紀の病室のドアをノックして、いつもの様に友紀に調子を問う。



でも、今日はそこからが違っていた。


友紀から出た、退院の言葉。


その方が、記憶が戻りやすくなるということ。



分かっていたはずなのに、今の幸せがずっと続くんじゃないか。と自分の都合の良い妄想をしていた俺は、動揺を隠せなかった。


俺の態度に心配して来る友紀。



思わず、下を向いてしまった。



「光輝・・・・」



友紀が心配している・・・


何か言わないと・・・




「俺たち、上手く言ってなかったんだ。」


別れたとは言えなかった。


「え?」


友紀の驚いた声が聞こえる。


「友紀も、俺も仕事優先だっただろ?

 ろくに会えない時に友紀が男といるのを見たんだ。」



「男?」


「そう、野崎さん」


「修ちゃん?!」


「まさか、友紀のおじさんだとは思わなくて。

 友紀が浮気してるとか、疑ったわけじゃなかったんだけど・・・

 忙しくて、友紀をないがしろにしてる自覚があったから、自信が無くて、友紀に聞くこともしなかったんだ。

 その時さ、同じ部の女の子に飲みに誘われて・・・

 二人っきりだって知らなくて・・・

 次の日、それがもう会社に広まってて、それを聞いた友紀が傷ついてるのを見て、嬉しかったんだ・・・


 最低だろ?傷ついてるの見て喜ぶなんて。」






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